緑内障と血圧について

高血圧と緑内障
 
血圧と眼圧は、基本的には関係ありません。

血圧は、血管の中を流れる血液が血管を押す圧力の大きさです。
血管が狭くなったり硬くなったりすることが原因で、高くなります。

眼圧は、眼球内の房水の圧力で、流れが滞ると圧力が高くなります。

その結果、視神経を圧迫して視野狭窄等の症状が生じる眼病が緑内障です。

 

高血圧と緑内障は関係するのでしょうか?

それでは、高血圧は緑内障の原因となりうるのでしょうか。

血圧が高い「高血圧症」の原因は、生活習慣、加齢や今患っている現疾患によるもの、遺伝などさまざまです。

誰しも加齢により大なり小なり血圧上昇は免れませんが、果たしてこの高血圧は、眼球の血行動態にも悪影響を及ぼすのでしょうか?

2016年に報告された研究では、高血圧を合併している原発性開放隅角緑内障(POAG)の患者において、あるタイプの高血圧では眼動脈の血管抵抗が有意に上昇することが分かりました。

この研究について、詳しくご紹介します。

 

高血圧のdipper型/non-dipper型、どちらが緑内障に悪影響?

高血圧にはさまざまな種類がありますが、「夜間高血圧」というタイプはご存知でしょうか?

言葉のとおり、夜間にも高血圧が持続する状態を指します。

この「夜間高血圧」は、心血管疾患といったさまざまな合併症を引き起こす可能性が高くなることが分かっており、1日の血圧変動を測定するために、高血圧が疑われる患者では24時間血圧計の使用が推奨されています。

この、夜間高血圧には「dipper型」と「non-dipper型」があり、「dipper型」は日中よりも夜間の方が血圧が低くなるタイプです。

たとえ高血圧であっても、日中よりも夜間の方が血圧が低下するのは正常な血圧の変化です。

一方で、「non-dipper型」では、夜間に血圧が下がらず、血圧高値が持続します。

では、どちらのタイプが緑内障により悪影響を及ぼすのでしょうか?

原発性開放隅角緑内障(POAG)は40歳以上で発生する成人型と3〜40歳未満で発生する稀な若年型があります。

数が多い成人型は加齢がリスクファクターですが、同様に、加齢は高血圧のリスクファクターでもあるため、POAGと高血圧を合併している患者は多く、関連が気になるところです。
 

原発性開放隅角緑内障と血圧との関係

この疑問に答えてくれたのが、セルビア・ベオグラード大学の研究グループによる研究結果です。

研究グループは、114例(dipper型78例およびnon-dipper型36例)の外来患者を観察し、夜間高血圧タイプであるnon-dipper型よりも日中型のdipper型の方が、眼動脈の血管抵抗指数が増加し、眼球後方の血行動態のパラメータも低下することを示しました。

結果を考察すると、dipper型の方が夜間の血圧低下により、血圧維持のために血管抵抗が増加し血圧を上昇させようとする動きが起こっている可能性が考えられます。

血管抵抗が増加するということは、血管が収縮し細くなるイメージをもってもらうと分かりやすいと思います。
細くなるため、血流も悪くなります。

緑内障の原因の一つとして、視神経の血流低下(循環障害)が考えられるため、dipper型は緑内障の原因および増悪因子となると考えられます。

ただし、夜間の血圧が高ければよいというわけでなく、慢性的な血圧高値は血管を固く細くし、血管抵抗をより上昇させてしまうため、日中・夜間を通して血圧のコントロールを行うことが重要です。
 

最後に

今回の研究では、日中に血圧が高く夜間に低下するdipper型の高血圧症では、眼血流に悪影響を及ぼす可能性が示されました。

高血圧と一言に言っても、血圧高値を示す時間は原因や人によってそれぞれであり、時間治療(血圧が高くなる時間をターゲットに薬を内服すること)の重要性が再確認されている疾患の一つでもあります。

加齢は誰にも避けられないことであり、高血圧症と緑内障を合併している方も多いと思います。

この研究結果を踏まえて、自分の血圧の日内変動および薬物治療でしっかりコントロールできているか、今一度しっかり見直すとよいかもしれません。

(参考資料)
ダイジェスト版 24時間血圧計の使用(ABPM)基準に関するガイドライン(2010年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_shimada_d.pdf

日本眼科学会 緑内障
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp

原発性開放隅角緑内障(Review Article: Primary Open-Angle Glaucoma) NEJM,March 12,2009
http://www.nishiizu.gr.jp/intro/conference/h21/conference-21_01.pdf

Relationship between blood pressure and retrobulbar blood flow in dipper and nondipper primary open-angle glaucoma patients.
European journal of ophthalmology. 2016 Jun 21; pii: 724A4DC0-F834-431D-AD52-DECDD9241915.
Ivan Marjanović, Marija Marjanović, Antonio Martinez, Vujica Marković, Marija Božić, Vesna Stojanov
http://pmc.carenet.com/?pmid=27338118


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