緑内障手術「線維柱帯切除術」に関する研究のご紹介

繊維柱帯切除術の有効性
 
点眼薬といった内科的治療でも眼圧が下がらず、視野障害が進行する緑内障では外科治療が検討されますが、合併症のリスクが高い侵襲的な外科手術では、安全性や有効性が最も心配なところです。

そこで、ここでは緑内障手術の症例数が多いことで有名な広島大学眼科による線維柱帯切除術の有効性や安全性の研究についてご紹介します。
 

繊維柱帯切除術とは?

簡易的に行えるレーザーは外来でも手軽に行えるため、点眼薬でやや眼圧コントロール不良な例でまず検討されます。

線維柱帯をめがけてレーザーを照射し、房水が流れるようにして眼圧低下を成功率は約6〜7割で、合併症が少なく、繰り返し行えることがメリットです。

一方で、侵襲的な観血的手術に比べると有効性には劣ることや、内皮障害が問題とされています。

メスで切開する観血的手術は線維柱帯切除術や線維柱切開術の大きく2種類に分けられます。

切開術は解放隅角緑内障や若年者などのケースで選択される手術の一つで、電気メスで線維柱帯の一部を切開、除去し、房水の流出を促して眼圧を下げる手術です。

手術時間は15〜30分と短時間で、切除術より術後合併症が少ないことがメリットですが、有効率は切除術よりも低くなり、眼圧が安定するまで眼球のマッサージを行ったり、縫合糸を切開するといったメンテナンスが必要で、個人差はありますが術後数年で効果が低下します。

次に、切除術ですが、線維柱帯房水が流れる通路を作成し、癒着防止のためにマイトマイシンCという薬剤を切開創に塗布するマイトマイシンC併用線維柱帯切開術は、日本で最も行われている緑内障の観血的手術であり、切開術よりも眼圧低下が期待できます。

術後合併症としては、術後前房出血、浅前眼、房水漏出、脈絡膜剥離などが挙げられますが、レーザー切糸術の導入により房水流出量のコントロール精度が上がったために、過剰濾過による合併症の低眼圧や、浅眼房などが減少し、合併症リスクが低下しました。
 

繊維柱帯切除術の有効性が示される結果に

2015年に発表された広島大学の研究では、日本国内で線維柱帯切除術(および同時白内障手術)を受けた829例を対象に成功率やリスク因子、および術後合併症について解析しました。

眼圧は術前と比較し、術5年後には12〜13mmHgまで低下し、成功率はIOP<22mmHg群において術1年後では約9割、術5年後は約7割でした。

切除術で効果不良の例では再手術が行われることがありますが、3回目以降は成功率が低下し、効果がみられませんでした。

その他、手術が不成功となるリスクは、術前高眼圧、硝子体の状態(硝子体出血など)、白内障手術が関連していることがわかりました。

術後合併症である術後前房出血、浅前眼、房水漏出、脈絡膜剥離に関しては、それぞれ2.7%、3.1%、1.9%、7.2%でした。

この研究を総括すると、術5年後の成功率は約7割と高いものの、失明のリスクが高い術前高眼圧や過去複数の緑内障手術歴があること、術前硝子体状態が悪いこと、同時白内障手術が不成功のリスク因子となることがわかりました。
 
(参考資料)

“Intraocular Pressure Outcomes and Risk Factors for Failure in the Collaborative Bleb-Related Infection Incidence and Treatment Study.”
Ophthalmology. 2015 Nov;122(11):2223-33. doi:10.1016/j.ophtha.2015.06.038. Epub 2015 Sep 26.
Sugimoto Y1, Mochizuki H2, Ohkubo S3, Higashide T3, Sugiyama K3, Kiuchi Y2.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26410611

緑内障診療ガイドライン第3版 日本緑内障学会
http://www.ryokunaisho.jp/guidelines/guidelines_all.pdf


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