【医師が監修】緑内障で利用される治療薬:点眼薬(目薬)の作用・副作用・種類等、詳細について、まとめました。

作業と緑内障
 

【医師が監修】緑内障の目薬の副作用(充血等)や効能について理解して、治療に受け身にならず、大切な目を守りましょう。

緑内障の治療(主に点眼)について、お医者様任せにしていませんか?

受け身でいるのではなく、自ら積極的に治療法も理解することは、とても大切です。

なぜなら、緑内障の治療は、長期にわたることが多く、自覚症状もありません。

そのため、治療を成功させるには、患者さんがきちんと治療方法を実行することが大切です(これを、アドヒアランスと言います)。

しかし実際は、点眼を忘れてしまうなど、緑内障治療薬に対するアドヒアランスはお医者さんが考えるより、ずっと悪いと言われています。

患者さんも治療方法について積極的に理解し、治療方法の決定に関わり、自らきちんと実行することがとても大切になります。

また医師の側にも、点眼薬等の選択をアドヒアランスが得られやすいように選択したり、病気の状況や治療方法、副作用等について丁寧に説明したりすること等が求められます。

そこで、お使いの点眼薬(目薬)の作用や副作用等の詳細について、以下にまとめました。

お使いの目薬の箇所をご参照いただくことで、ご自身の治療法についての理解の一助となれば、幸いです。

 

お使いの点眼薬(緑内障の目薬)には、どのような働き(作用・副作用)があるのでしょうか?

緑内障の治療として、一般的に最初に行われるのが、点眼薬(目薬)による薬物療法です。
眼圧を下げる治療となりますが、どのように眼圧を下げるのでしょうか?

そもそも、治療の目的は、ご存知の通り、現状以上に視野の欠損が広がらないようにすることです。
なぜなら、緑内障によって視野欠損が起こった場合、傷ついた視神経を修復し、視野を回復することはできないからです。

治療前の眼圧から20%の眼圧下降ができると視野が維持できる可能性が高いと言われています(※)。

出典:
Target intraocular pressure for stability of visual field loss progression in normal-tension glaucoma.
Jpn J Ophthalmol. 2010 Mar;54(2):117-23. doi: 10.1007/s10384-009-0779-z. Epub 2010 Apr 18.
Aoyama A1, Ishida K, Sawada A, Yamamoto T.

緑内障治療薬として、現在多数の治療薬が認可されていますが、必要最小限の薬剤と副作用で、最大の効果を得ることを目指します。
複数の治療薬を併用するほど、副作用が増えたり、患者さんがきちんと全てを服用(点眼)したりしない等の問題が生じる可能性があります。

その点、複数薬剤を含む配合点眼薬が使用されることはよくありますが、まずは単剤を利用しながら、副作用や眼圧降下の効果を確認しながら、薬剤(点眼薬)を決定することが望ましいとされています。
また、薬物の効果には個人差がありますので、点眼薬の導入に際しては、可能であれば、まず片眼に投与して、眼圧下降効果や副作用を判定して効果を確認してから(片眼トライアル)、両眼への投与を開始することが望ましいと言われています。

ちなみに、眼圧を十分下げるために、多くの治療薬が必要な場合(一般に4剤以上)、レーザー治療や手術等への移行の検討が必要となることが多いようです。

(ご参考)
点眼以外にも眼圧を下げる為に出来ることはあります。
こちらの記事もあわせて是非ご覧下さい:
眼圧を下げる為に、絶対にやっておきたい15の緑内障対策

また、正しい点眼は、効果を高め、副作用を軽減してくれます。
次の点に注意して、点眼を行いましょう。

・点眼前に手を洗いましょう
・目薬の先が、まつ毛に触れないように注意しましょう
・点眼は薬によって決められた回数を行うようにしましょう(それ以上やっても効果は変わりませんし、副作用が生じる恐れがあります)
・点眼後、目を閉じて静かにしていましょう
・目のまわりに目薬があふれた場合は拭き取ります(手に付いた場合は、洗い流します)
・別の目薬をさす際は、5分以上の間隔をあけましょう

 

緑内障の治療薬・点眼薬(目薬)の一覧と眼圧を下げる目薬の作用による分類について。

点眼薬(目薬)は、大きく次の2つに分類されます:

1.房水の産生を抑えるタイプ
2.房水の排出を促すタイプ

お使いの点眼薬(目薬)は、どちらのタイプでしょうか。

以下、ご参照いただき、目薬の働きについて、今一度、理解いただければと思います。
 

1.房水の産生を抑える作用がある点眼薬(目薬)。

チモロール(チモプトール)、
カルテオロール(ミケラン)、
レボブノロール(ミロル)、
ベタキソロール(ベトプティック)
ドルゾラミド(トルソプト)、
ブリンゾラミド(エイゾプト)
ニプラジロール(ハイパジール、ニプラノール)
アプラクロニジン(アイオピジンUD)、
ブリモニジン(アイファガン)
ラタノプロスト+チモノール(ザラカム)、
トラボプロスト+トモロール(デュオトラバ)
チモロール+ドルザラミド(コソプト)
 

2.房水の排出を促す作用がある点眼薬(目薬)。

ラタノプロスト(キサラタン)、
トラボプロスト(トラバタンズ)、
タフルプロスト(タプロス)、
ビマトプロスト(ルミガン)、
ウノプロストン(レスキュラ)
ブナジソン(デタントール)
ピロカルピン(サンピロ)
ニプラジロール(ハイパジール、
ニプラノール)
アプラクロニジン(アイオピジンUD)、
ブリモニジン(アイファガン)
ラタノプロスト+チモノール(ザラカム)、
トラボプロスト+トモロール(デュオトラバ)
ジピベフリン(ピバレフリン)
 

緑内障治療薬(点眼薬)の分類について

それぞれの作用・副作用については、次項をご覧ください。

1.交感神経刺激薬

1-1.受容体非選択性

1-2.α2受容体選択性

2. 交感神経遮断薬

2-1.β受容体遮断薬

2-1-1.受容体非選択性

2-1-2.β1受容体選択性

2-2.αβ受容体遮断薬

2-3.α1受容体遮断薬

3.副交感神経刺激薬

4.プロスタグランジン関連薬

5.炭酸脱水酵素阻害薬

5-1.全身薬

5-2.局所薬

6.高張浸透圧薬

7.配合点眼薬

原発開放隅角緑内障では、プロスタグランジン関連薬や交感神経β遮断薬の眼圧下降効果が優れているため、第一選択薬として使用されます(ルミガンやチモプトール等)。
副作用等によって、不適当な状況もあり、そうした場合は、炭酸脱水酵素阻害薬点眼、交感神経α1遮断薬、非選択性交感神経刺激薬、副交感神経刺激薬なども第一選択薬になり得ます。

 

緑内障の主要な点眼薬(目薬)の副作用や作用の一覧をまとめました。

主な点眼薬(目薬)の商品名や作用、副作用などを記載します。

プロスタグランジン関連薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ラタノプロスト(キサラタン)、トラボプロスト(トラバタンズ)、タフルプロスト(タプロス)、
ビマトプロスト(ルミガン)、ウノプロストン(レスキュラ)

効果

◎

房水への作用

排出を促進

目への副作用

・目の充血、かゆみ、異物感など
・虹彩への色素沈着
・まつ毛が増える
・まぶたが黒ずむ
・上まぶたがへこむ

全身への副作用

・重篤なものは少ない

禁忌

・本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

・無水晶体眼または眼内レンズ挿入眼
・気管支喘息またはその既往歴のある患者
・眼内炎(虹彩炎, ぶどう膜炎)のある患者
・ヘルペスウイルスが潜在している可能性のある患者
・妊婦、産婦、授乳婦など

β遮断薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

受容体非選択性:チモロール(チモプトール)、カルテオロール(ミケラン)、レボブノロール(ミロル)、
β1受容体選択性:ベタキソロール(ベトプティック)

効果

○

房水への作用

産生を抑える

目への副作用

・刺激感
・目のかゆみ

全身への副作用

(ぜんそくの人には使えない)
・除脈
・ぜんそく発作
・心臓や気道への影響

禁 忌

受容体非選択性:
・気管支喘息などの患者
・コントロール不十分な心不全などの患者
・本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者
β1受容体選択性:
・本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・コントロール不十分な心不全のある患者
・妊婦(妊娠している可能性を含む)

慎重投与

受容体非選択性:
・肺高血圧による右心不全
・うっ血性心不全
・糖尿病性ケトアシドーシスおよび代謝性アシドーシス
・コントロール不十分な糖尿病

β1受容体選択性:
・洞性徐脈、房室ブロック、心原性ショック、うっ血性心不全
・コントロール不十分な糖尿病
・喘息、気管支痙攣、コントロール不十分な閉塞性肺疾患

α1遮断薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ブナジソン(デタントール)

効果

△

房水への作用

排出を促進

目への副作用

・結膜充血

全身への副作用

・ほとんどない

禁忌

・本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

副交感神経刺激薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)
ピロカルピン(サンピロ)

効果

△

房水への作用

排出を促進

目への副作用

・暗くぼやける
・視力低下

全身への副作用

・鼻水が出る

禁忌

・虹彩炎の患者

慎重投与

・気管支喘息の患者
・網膜離の危険のある患者
・悪性緑内障(毛様筋の収縮により毛様体ブロックが増悪)
・水晶体亜脱臼や膨隆白内障による緑内障(眼圧がかえって上昇する場合がある)

炭酸脱水酵素阻害薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ドルゾラミド(トルソプト)、ブリンゾラミド(エイゾプト)

効果

△

房水への作用

産生を抑える

目への副作用

・一時的な刺激感
・かゆみ
・充血

全身への副作用

・重篤なものは少ない

禁忌

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・重篤な腎障害のある患者

慎重投与

・肝機能障害のある患者
・眼内手術の既往等のある患者

交感神経刺激薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ジピベフリン(ピバレフリン)

効果

△

房水への作用

産生を抑える

目への副作用

・結膜アレルギー
・散瞳(さんどう)

全身への副作用

・口の乾き
・鼻の乾燥感

禁 忌

・狭隅角や浅前房などの眼圧上昇の素因のある患者
(急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすことがある)
・本剤成分に過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

・高血圧症
・動脈硬化症
・冠不全又は心不全などの心臓疾患
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症

αβ遮断薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ニプラジロール(ハイパジール、ニプラノール)

効果

○

房水への作用

排出を促進、産生を抑える

目への副作用

・刺激感
・目のかゆみ

全身への副作用

・除脈
・ぜんそく発作
・心臓や気道への影響

禁 忌

・気管支喘息などの患者
・コントロール不十分な心不全などの患者
・本剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

β遮断薬と同じ

α2受容体作動薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

ブリモニジン(アイファガン)

効果

△

房水への作用

排出を促進、産生を抑える

目への副作用

・結膜炎
・角膜炎
・目の充血、かゆみ

全身への副作用

・口の乾き
・鼻の乾燥感
・めまい
・低血圧
・徐脈

禁 忌

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・低出生体重児、新生児、乳児または2歳未満の幼児

慎重投与

・脳血管障害、起立性低血圧のある患者
・心血管系疾患のある患者

α2遮断薬の作用・副作用・禁忌・慎重投与について

一般名(商品名)

アプラクロニジン(アイオピジンUD)

効果

△(レーザーによる手術後の眼圧上昇を抑制するために用いる)

房水への作用

排出を促進、産生を抑える

目への副作用

・結膜蒼白
・散瞳
・まぶたが上がる
・結膜炎

全身への副作用

・口の乾き
・鼻の乾燥感

禁 忌

・本剤・クロニジンに対し過敏症の既往歴のある患者
・モノアミン酸化酵素阻害剤の投与を受けている患者

慎重投与

・重篤な心血管系疾患
・不安定な高血圧症
・血管迷走神経発作の既往

合剤:プロスタグジンジン関連薬+β遮断薬

一般名(商品名)

ラタノプロスト+チモノール(ザラカム)、トラボプロスト+トモロール(デュオトラバ)

効果

◎

房水への作用

排出を促進、産生を抑える

目への副作用

・虹彩への色素沈着
・まつ毛が増える
・まぶたが黒ずむ
・刺激感
・目のかゆみ

全身への副作用

・除脈
・ぜんそく発作
・心臓や気道への影響

禁 忌

・気管支ぜんそくやその既往歴のある患者、慢性閉塞性肺疾患のある患者
・コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロックなどがある患者
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

・肺高血圧による右心不全のある患者
・うっ血性心不全のある患者
・糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者
・コントロール不十分な糖尿病のある患者
・無水晶体眼または眼内レンズ挿入眼の患者
・眼内炎のある患者
・ヘルペスウイルスが潜伏している可能性のある患者
・妊婦、授乳婦など

合剤:β遮断薬+炭酸脱水酵素阻害薬

一般名(商品名)

チモロール+ドルザラミド(コソプト)

効果

○

房水への作用

産生を抑える

目への副作用

・刺激感
・目のかゆみ
 

全身への副作用

・除脈
・ぜんそく発作
・心臓や気道への影響

禁 忌

・気管支ぜんそくやその既往歴のある患者、慢性閉塞性肺疾患のある患者
・コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロックなどがある患者
・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
・重篤な腎障害のある患者

慎重投与

・肺高血圧による右心不全のある患者
・うっ血性心不全のある患者
・糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者
・コントロール不十分な糖尿病のある患者
・肝機能障害のある患者
・眼内手術の既往等のある患者
 

【監修】大見 貴秀医師

帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。

麻酔科医として眼科や外科、脳外科、整形外科など様々な手術に関わる。

「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。


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