老化が目に及ぼす影響
目も身体の一部ですから、当然、年をとります。
代表格は、老眼です。
物を見るとき、瞳孔から入ってきた光を目の奥にある網膜(カメラでいうとフィルム)でとらえています。
その際、瞳孔の内部にある水晶体(カメラのレンズ)で光を屈折させ、網膜にきちんと像を映し出すように、ピントを調整しています。
水晶体は厚みを変えることでピントを合わせています。
その厚みを変えているのが、毛様体という筋肉です。
毛様体は、近くを見るときは緊張して水晶体を厚くし、遠くを見るときには、ゆるんで水晶体を薄くしています。
ところが、加齢とともに、水晶体の弾力性が失われてくるのです。
また、毛様体筋も、他の筋肉と同じように、年をとるにつれて衰えていきます。
その結果、毛様体筋が縮んでも、硬くなった水晶体を十分厚くすることができず、近くの物が見えにくくなります。
水晶体(レンズ)が厚くなれないと、光は十分屈折せず、その結果、光の映像は網膜上にきれいな画像とならずぼやけてしまいます。
これが老眼です。
老眼を治す薬はない、と言われます。
つまり、水晶体に柔軟性を取り戻させる薬は現在のところありません。
メガネでの矯正はできますが、老眼そのものを治すわけではありません。
しかし、衰えた筋肉も鍛えれば成果をあげます。
毛様体筋も例外ではありません。
(ただし、いきなり強い運動をしないこと。
準備運動が必要なことも他のトレーニングと同じです)
老化が目に及ぼすその他の影響
他に、老化が目立つのが、硝子体です。
視界に蚊が飛んでいるようにゴミ状のものが見える飛蚊症や視力低下につながります。
老化によって、硝子体を組成しているゲル様組織とよばれる寒天状物質の粘りがなくなり、液状になります。
すると硝子体の中の細胞や繊維質が不安定に浮遊し、その影が見えてしまうのが、飛蚊症です。
他に、眼底出血、というものもあります。
網膜の血管に動脈硬化が起こり、これが破れて出血し、視野の中に影ができたり、視力が急に落ちたりする症状です。
このような血管障害は老化以外にも、高血圧や生活習慣病が原因となることも多いので、注意しましょう。
緑内障や白内障と老化
また、緑内障や白内障などの病気は、老化が原因とは限りませんが、年齢が上がるにつれて、発病率も上がることが知られています。
さらに、物を見る、という行為は、脳と深い関係があります。
(目から入った映像は、電気信号として視神経を通り、脳の大脳皮質の視覚野(しかくや)という領野へ伝えられる)
そのため、目が衰えて脳に入る情報が減れば、脳が十分に使われなくなって、当然脳も衰える、と考えることができます。
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